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☆愛別離苦/親就

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忘れるな、我を忘れること等―――…、許さぬ。

四国の城へ轟音が響く。
叫び声。瘴気。血の臭い。断末魔。
(嗚呼…)
元就は光悦の表情を浮かべ、静かに目を閉じた。

「死んでしまうなよ…、元親」

言葉とは裏腹に口を歪める。
(…愉しい)
己が愛した人が愛した国を攻めた、「愛している」から。

紫の鬼は何故、とでも言う様な顔をして碇を振るっていた。

時期にその瞳も瘴気に染まり、
自分に殺意を向けてくる…これ以上ないほどの「恨み」を。

「結局…ッ全部てめぇの策だったのかよ!?」

嗚呼、彼の顔が悲しみと憎しみで歪められている。

「…その通りだ」

その「悲しみ」も「憎しみ」も全て自分に向けられているもの。
其れだけで歓喜に値する……。

(これで……)

(貴様は我を忘れなどしないであろう?)

いつでも自分のことなど忘れられないように――……
我が死のうが、貴様が生まれ変わろうが忘れるで無いぞ。

「元親…、愛しているぞ」

それは心からの想い。
どんな方法でも良い……彼に忘れられることさえ無ければ良いのだ。

「さよなら」

この願いが叶うなら彼を傷つけることも悲しませることも厭わない。
忘却のみが今の恐怖。

我を殺してくれるなよ―――…。

(憎悪でも良い)(私を消さないで)
愛別離苦